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  後遺障害(高次機能障害)
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳損傷による認知機能障害の総称です。
原因としては、@脳卒中や脳出血等の脳血管障害、A交通事故等の脳外傷、B低酸素脳症等が挙げられます。
交通事故外傷の場合、従来は、他覚的所見(CT,MRI等)で異常を示す局部損傷(脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血等)が自賠責保険で後遺障害認定される扱いが多かったのですが、
その後、1984年に、画像上は明確な異常を見出せないにもかかわらず、認知障害や人格変化を生ずる
症例があることがわかり、局部損傷と対比して、「びまん性脳損傷」または、「びまん性軸索損傷」と名づ
けられました。びまんとは、全体的なという意味です。

 認知障害 →  記憶力の低下、集中力低下、判断力低下、遂行機能障害等
 人格変化 →  感情の起伏が激しい、暴言・暴力、幼稚性、羞恥心の低下、病的嫉妬、被害妄想等
 
びまん性軸索損傷びまん性脳損傷)
びまん性脳損傷とは、脳全体に回転加速度衝撃が加わった場合、脳内にズレが生じ、脳内の神経軸索(神経の束)が切断若しくは損傷されることによって、認知障害や人格変化の障害がでる病態をいいます。
損傷した軸索は、変性し、さらにはゴミとなって取り除かれるので、脳の体積がそれだけ減少するのです。

検査方法としては、CT,MRIの検査の他に、脳の血流の分布により脳の機能障害がわかるSPECT(スペクト)検査で所見される可能性が高いといわれています。
 
脳外傷による高次脳機能障害と診断される重要ポイント
以下の条件に該当する場合には、高次脳機能障害を疑ってみる必要があります。
1.頭部外傷が明らかであること

2.受傷後の意識障害が存在すること
軽度の脳震盪(のうしんとう)も対象となるが、受傷後6時間以上継続する意識障害は、高次脳機能障害の
疑いが強い。
検査方法は、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)と、GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)が用いられる。

3.画像所見として、急性期における何らかの異常所見、または、慢性期にかけての局所的な脳萎縮、特に脳室拡大の進行。
急性期は脳内の点状出血、脳室内出血、くも膜下出血であり、慢性期は事故後の画像と比較して脳萎縮または脳室拡大。


4.意識回復後に、認知障害と人格変化が顕著であり、これらの原因が交通事故以外に考えられないこと
 
自賠責保険高次脳機能障害の等級認定基準
自賠責保険後遺障害等級認定においても、その殆どは「労災保険障害等級認定基準=厚生労働省労働基準局長通達(基発第0808002号平成15年8月8日)「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準」に準拠するものです。
高次脳機能障害(びまん性軸索損傷)と認定されるためには、障害認定基準を満たすだけの医学的根拠が必ず必要であり、そのうえに、
4能力(@意思疎通能力 A問題解決能力 B持続力・持久力 C社会行動力)の喪失率に着目し、評価されます。
複数の障害が認められる場合には、原則として障害の程度の最も重篤なものに着目し評価を行います。

■意思疎通能力
職場において、他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうかを判定する。
記憶障害: 病棟内で、道に迷う、看護婦の名前を覚えられない、訓練時間を覚えられない
失語症: 話せない、聴いて理解できない、書けない、計算できない

■問題解決能力
作業課題に対する指示を的確に判断し、円滑に業務が遂行できるかどうかについて判断する。
注意障害: 注意が散漫になり、集中力に欠ける、同時にいくつかのことができなくなる

■作業付加に対する持久力・持続力
就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する
遂行機能障害: 1つひとつ指示しなければ行動できない、物事を最後までやり遂げられない、

■社会行動能力
職場において、他人との円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定する。
社会行動障害: 欲求が抑えられない、突然怒り出す、相手の気持ちを思いやれない
  
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労災における高次脳機能障害整理表
高次脳機能障害整理表は、障害の程度別に能力喪失の例を示したものです。
概ね、後遺障害の等級としては、青字の等級に該当するとされています。

 

高次脳機能障害
意思疎通能力
(記銘・記憶力
認知力、言語力等)
問題解決能力
(理解力、判断力)
作業負荷に対する
持続力・集中力
社会行動能力
(協調性等)
A 多少の困難はあるが概ね自分でできる。

(14級)

(1)職場で他の人と意思疎通を
ほぼ図ることができる。

(2)必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。

 

(1)さほど複雑でない手順であれば、概ね理解して実行できる。

(2)ある程度抽象的な作業であっても概ね1人で判断することができ、実行できる。

概ね8時間支障なく働ける。  周囲の人ともほぼ交流ができ、作業や生活に多少の支障しか生じない。(変更)

B

困難はあるが概ね自分でできる

(12級)

(1)職場で他の人と意思疎通を図るためにはゆっくり話してもらう必要がある。

(2)かかってきた電話の内容を時々忘れることがある。

(3)普段の会話には何とかついていけるが、文法的な間違いをしたり、適切な言葉を使えないことがある。

 

AとCの中間

 

AとCの中間



AとCの中間

C

困難があり多少の援助が必要

(9級)

(1)職場で他の人と意思疎通を図ることができるが、意味を理解するために時には繰り返してもらう必要がある。

(2)指示がなければ、こちらから電話をかけることができない。

(3)雑談程度の会話の場合でも断片的な単語だけで話すことが多い。

(1)手順をなかなか理解することができず、何度も確認することが必要である。

(2)かなり具体的な作業であっても1人で判断することは困難であり、時々助言を必要とする。

 

概ね8時間働けるが、障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督が時々必要である。

障害に起因する非常に不適切な行動(攻撃性・不安定性など)が時々認められ、作業や生活に支障が生じる。

D

困難はあるが援助があればできる

(7級)

(1)職場で他の人と意思疎通を図ることができるが、意味を理解するためにしばしば繰り返してもらう必要がある。

(2)電話のベルが鳴れば、受話器を取ってこちら側の名前・社名は言える。
  伝言の記憶が不正確で依頼者の名前を思い出すことが困難なことが多い。

(3)単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。

 

CとEの中間  

 

CとEの中間 



CとEの中間 

E

困難が著しく大きい

(5級)

(1)実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示す、などのいろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる。

(2)ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し方をしながらも、何とか自分の欲求や望みだけは伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、いろいろと推測する必要がある。

(1)与えられた一つの課題についても、なかなか理解することができない。

(2)単純な作業であっても1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない。

障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するため、監督をしばしば行っても半日程度しか働けない。

障害に起因する非常に不適切な行動(攻撃性・不安定性など)がしばしば認められ、作業や生活に大きな支障が生じる。

F

できない
(3級)

職場で他の人と意思疎通を図ることができない。

課題を与えられてもできない。

持続力に欠け働くことができない。

社会性に欠け働くことができない

 
 
高次脳機能障害を残した場合、該当する自賠責保険後遺障害等級
自賠責保険等級 神 経 系 統 又 は 精 神 の 障 害 の 程 度
別表
第T
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
別表
第U
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの
 
高次脳機能障害審査会
平成13年、「びまん性軸索損傷」「びまん性脳損傷」の被害者の後遺障害認定を迅速に行なうため、
自賠責・損保保険料率算出機構の中に専門医を含む高次脳機能障害審査会が設置されました。

  平成19年2月2日付けの「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会報告書
 
 
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