今日は、兵庫県行政書士会の知的資産の研修に行ってきました。
講師は、奈良先端大学院大学 客員准教授の光井将宇先生です。
盛りだくさんの内容で、すごい!! 久しぶりに感動しました。
農商工連携とは、1次産業の農林水産業者と中小企業が連携し、付加価値のある商品(い
わゆるブランド品)を作り、地域全体を活性化し競争力をつけていくというものです。
経済産業省の農商工連携法に基づき事業計画を作成し、これが認定されれば、助成金が
得られます。
一例を紹介します。
兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む農法」による米粉を用いた食品の開発・製造・販売事業
コウノトリは、昭和40年代に絶滅しました。
その理由は、肉食のコウノトリのエサになる、おたまじゃくしや虫などが農薬の使用など
でいなくなってしまったこと。
豊岡市は、コウノトリを復活?させるために、農薬を使用しない水田を増やしました。
その水田で作られたお米がコウノトリ米です。農薬などを使用していないので、本当に
おいしいお米ができたのです。
農薬を使用しないため、とれるお米は通常の6割程度。それで利益を出すためには、お米
に付加価値をつけて、高い値段で売らなければなりません。
そこで考えたのが、見た目も粒揃いにし、おいしく炊けるお米にするということです。
そのために、通常は、精米の段階で規格品外(小粒のものや割れのあるものなど)を
10%程度はねるのですが、それを22%程度に増やし、まさに粒揃いのお米にしたので
す。そうすることで、炊いたときに熱が均一に行きわたるため、とてもおいしく炊けるそ
うです。はねられたお米は、米粉などの商品にし、これらも販売することにしました。
農林漁業者のたじま農業協同組合と中小企業者丸萬中源株式会社(食料品製造業)の連携
によるものです。
連携の本質は、①新規事業に必要な設備、ノウハウは外部に求めること。
例えば、イチゴ農家が新たにイチゴのジャムを作って売るときに、自ら高額な設備投資を
するのではなく、機械を持っている業者にイチゴを提供し、お金を払って作ってもらうよ
うにするほうが、はるかに効率がよいということです。
②連携する業者同士は、常に消費者を前にし、横の関係であること。
「あなたの商品は田舎くさい」というとダメで、「あなたの商品をお客さんが田舎くさい
と言っていた」にしないといけないそうです。お客さんを常に主語にするとよいのです。
③変化する時代に対応
昭和の時代は、よい商品・サービスを提供するだけで売れましたが、今はその商品の良さ
をターゲット(例えば、高齢者向けに売るのか、若者向けに売るのかなど)に伝達し、タ
ーゲットの行動範囲内(生協やスーパー向けか、インターネット販売にするのかなど)に
販路を持つこが大事です。売りっぱなしではなく、農林漁業者と中小企業が販路の共有を
することで、どんな商品が売れるのか、あるいは売れないのかを検証していくことが大切
です。
④新商品をその商品単独では考えないで、既存の商品とともに販売していくことを考え
る。
先のコウノトリ米の件でも、お米以外の米粉や麺、団子なども販売されています。
⑤実行前の調査と相談が大切
日本政策金融公庫が無料で農林水産関係の様々な資料を提供しています。
これらの資料から、売る商品はどこの年代をターゲットにすればいいのかなどがみえてき
ます。
また、過去の類似品を調べて参考にし、失敗していたらなぜ失敗したのかをみます。
そして、その原因が解決できたら今回の商品は成功できるかもしれません。
10年前と比べて、最も進化したといわれているのが、冷凍技術と輸送コストだそうで
す。失敗した原因がこの2つにあるのなら、成功しやすいということになります。
次に商品を現在のライバル商品と比較していきます。(そのためには、ターゲットと販路
を決める必要があります)
消費者は、上位2つの事柄(例えば、味と健康)で、決めるといわれています。その2つ
を上手にアピールすれば、その他の事柄は負けても問題ないということです。
最後に、未来に変化する顧客ニーズを予測します。
売り出したときと、リピーターでは、売るものを変えることが大事です。
例えば、発売当初は、激辛だけをウリにした商品であっても、リピーターしてもらうため
には、激辛+付加価値(おいしさ、健康によいなど)を加えた商品を出していかないと長
続きしません。時代とともに、商品も変化させていくということです。
価格競争に巻き込まれない、本物を作っていくことだ大事です。
約3時間半の講義で、上記の内容は10分くらいの内容です。
本当に有意義な研修でした。