調停について- 元裁判官・元調停委員のお話

今日は、兵庫県行政書士会の研修がありました。離婚問題研修の第3回目で、元裁判官・元弁護士・元調停員の山崎杲氏が講師を務めてくださいました。

40年間、家裁の裁判官、調停委員として調停にたずさわった結果、山崎氏が到達した思いは、離婚調停の究極の目標は、「円満な離婚」であるということ。

そして、その「円満な離婚」を達成するためには、双方が心理的離婚の状態になっていることが条件であるといいます。では、「心理的離婚」とは何でしょうか。

①結婚生活に失敗した「自分」を受け容れ、元の配偶者とはもう一緒に住めないという「現実」を受け入れ、やり直せるかもしれないという「空想」を捨て、諦めることであり、相手と「心理的」にきれること、すなわち「心理的」に離婚が成立した状態

→主観的 感情・感性の問題であり、内心の痛手を癒せるかどうかの問題

調停委員は、相手への恨み、憎しみの感情を吐き出させ、癒されるようにもっていかなければならない。双方がぐちゃぐちゃの状態であり、法律は役に立たない。

②婚姻が「客観的」には失敗に終わったことを認めるとともに、自分にも相手にもその原因となる「マイナスポイント」があったことを認めることができるようになった心理状態、即ち、「自分」と「相手」の「その関係」とが「客観視」できるようになった心理状態(いわば「客観的破綻の主観化」)

→破綻のいきさつを客観的事実として整理できるかの問題

調停委員が、婚姻生活が破たんしたいきさつを順を追って説明してほしいというと、双方とも自分の都合のよいところから話すが、簡単に自分の悪い部分を認める。追及してしまうと、自分の非を認めなくなる。いきさつを話していく段階で、自分の問題点が見えてきて、頭で整理でるようになってくる。

双方がこうなることで、「心理的離婚」に至る。

1回目の調停では、現実が見えている人は少ないが、何度かの調停で、顔つきや態度が変化してくる。本来は、お互いで解決できる力を持っているので、調停委員は、その能力を引き出していくだけということです。

離婚は、「夫婦関係の解消」と「親子関係の継続」という矛盾した要請が内在しており、離婚に際しては、その要請のそれぞれが克服されねばならない。「心理的離婚」に至らない状態で法的離婚(審判離婚・裁判離婚)した場合、親権をとった親は、子どもに親権を取らなかった親は死んだなどとうそをつくこともある。逆に親権を取らなかった親は、面接交渉や養育費の減額を要求し、紛争が延々と繰り広げられることになる。

子どもへの影響は、とても大きい。

平成22年5月13日の毎日新聞「親子が別れるとき離婚を考える④」欄に掲載されていました。

幼児期の父母離婚後父方で養育された男性が、出産後まもなく死亡したと聞かされていた母親につき、高校生の時、父方祖母から「あの女はお前が邪魔で捨てた」と聞かされて衝撃を受け、離婚を長い間隠されていたことに怒りを感じたこと、以来、人が怖く人間関係で辛さを感じるようになり、大学卒業後就職した会社を1か月で退職、アルバイトも続かず、カウンセリングに通ううち、自分を肯定するのが苦手で、それが成育歴からきているかもしれないと思い始めたこと、戸籍を調べ手紙を出して26歳で母に初めて会い、母から離婚時に父方祖母から「子は置いていけ。二度と会うな」と言われたことなどを聞くうち、少し気持ちの整理がついた気がしたこと、母との交流や自分のつらい気持ちを話す会に参加したりして徐々に自信を回復し、2年前に就職し一人暮らしも始めた。

こういう話を聞くと、親も大人になり「心理的離婚」に至ってから離婚してほしいと、しみじみ思います。

 


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