夫サラリーマン 妻専業主婦の場合の年金分割は、合意分割制度(平成19 年4月1日実
施)と、3号分割制度(平成20年4月1日実施)を利用することになります。
●合意分割制度
・平成19年4月以降に離婚した人が対象
・対象期間 婚姻期間 (平成19年4月前の期間も含む)
・分割割合 対象期間の2人の標準報酬の合計の2分の1が上限
・請求期間 離婚後2年以内
注意点①
妻に分割が認められるのは、2階部分の厚生年金、共済年金の報酬比例部分のみです。
年金のしくみ
1階部分 国民年金(基礎年金) 全国民
2階部分 厚生年金 → 民間企業のサラリーマン
共済年金 → 公務員、私立学校教職員
3階部分 企業年金 → 民間企業のサラリーマンで企業年金がある会社
共済年金職域部分 → 公務員、私立学校教職員
例えば、受け取れる年金25万円のうち、基礎年金(国民年金)が夫6.5万円、妻6.5万円、
厚生年金10万円、企業年金2万円だったとすると、妻に分割されるのは、厚生年金の10万
円の部分のみということになります。
それでは、妻の国民年金 6.5万円と10万円の2分の1の5万円はもらえるのだろう と思う
のですが、これもまた、違うのです。
6.5万円 + 5万円 11.5万円 ?
注意点②
分割されるのは、婚姻期間中に限定されるということです。
厚生年金の加入期間が40年で、そのうち婚姻期間が20年間だとすると、
10万円 × 0.5 = 4万円 が分割の対象になる金額です。
注意点③
分割の割合は、最大で2分の1 です。
4万円×0.5=2万円 が妻に分割される上限の金額になるということです。
上限ということですので、1万円、5千円ということもあり得るのです。
注意点④
お互いの合意が必要。
妻の要求を夫が了承しないときは、調停や裁判を申立てることが必要です。
注意点⑤
基礎年金(国民年金)は、平成24年度、加入期間40年で満額の年間786,500円
(月65,541円)がもらえます。
ただし、受給者が25年以上かけていないと、1円ももらえません。
離婚後も、年金を払い続けないと満額が支給されない方が多いので気をつけてください。
注意点⑥
両者で合意した年金分割は、年金事務所に請求しないと分割されません。
添付書類は、合意に関する公正証書、調停調書、審判調書などが必要です。
注意点⑦
年金分割の請求の時効は、離婚後2年です。
離婚後2年以内に請求しないと、時効になってしまうので、ご注意ください。
年金分割後の金額が思っていた以上に少ないという場合が多いので、よく考えたうえで結
論をだしてください。
まずは、合意分割のための情報提供を日本年金機構・最寄りの年金事務所に請求する必要
があります。
●3号分割制度(平成20年4月1日実施)
・夫が民間企業のサラリーマンや公務員、妻が専業主婦の場合、平成20年4月以後の年金
については、夫の合意を得ずに強制的に2分の1に分割されるというものです。
妻が会社員などの場合は、分割の対象にはなりませんので、分割を請求する場合には、上
記の合意分割制度を利用することになります。
・平成20年4月以降に離婚した人が対象
・対象期間 平成20年4月以後の専業主婦期間
・分割割合 2分の1(強制)
例えば、平成24年11月に離婚した、夫サラリーマン、妻専業主婦の場合、
平成20年4月~平成24年11月までの年金分割については、3号分割制度により強制的に2分
の1ずつに分割されますが、平成20年4月以前の婚姻期間中の年金については、合意分割
制度を利用することになります。
分割については夫の合意が必要で、分割割合も最大で2分の1ということです。
3号分割で年金が強制的に2分の1にされる期間は、まだまだ短いので、ほとんどの場合、
合意分割と併用することになります。
詳細については日本年金機構・最寄りの年金事務所にお問い合わせください。