未成年の子どもがいる夫婦の場合、協議離婚では夫婦のどちらが親権になるのかを決めなければ
離婚届は受理されません。
親権者は、子どもを育て、教育し、保護するほかに、財産の管理も行います。親権というと、子どもに
対する親の権利と思いがちですが、実際は、親の責任や義務のことです。
●親権は2つの権利
親権には、「身上監護権」と「財産管理権」の2つがあります。身上監護権は、子どもの身の回りの世
話や、教育やしつけをすることです。財産管理権は、財産を管理したり、法律的なことの代理人にな
ることです。通常は、子どもを引き取った側の親が身上監護権、財産管理権のどちらも行うことになり
ます。
●親権者の決め方
協議離婚では、親権者を話し合いで決めます。親権を決める際は、あくまでも子どもにとってどちら
が親権者になるのがふさわしいのかを考えて冷静に決めていただきたいと思います。
どういうことを考慮して決めたらよいのかを下記に書きました。
●父母の事情
心身の状態、生活態度、住居、家庭環境、教育環境、愛情の度合い、従前の監護状況、子どもと過
ごせる時間、サポートしてくれる人が近くにいるか、離婚原因など。
母親が仕事を持っている場合は、特に近くにサポートしてくれる人がいるかどうかが大切だと思いま
す。
●子どもの事情
年齢、性別、心身の発育状況、環境適応能力、転校しなければならないのか、父母との結びつきの
強さ、ある程度の年齢になると本人の気持ち
協議で親権者が決まらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
調停になった場合、家庭裁判所は、おおむね以下の基準で親権者を決めているようです。
0~満9歳(小学校2年年くらい)
→ 乳幼児の場合、特別な事情がない限り母親が優先されます。兄弟姉妹がいる場合は、基本
的に同一の親が親権者になります。
満10~満14歳(小学3年~中学2年)
→ 母親がなることが多いが、子どもの意見を考慮して決めることもある
満15~満19歳(中学3年~)
→ 子どもの意見を尊重して決める
胎児がおなかにいる場合は、母親が親権者になります。子どもが生まれてから、親権者を変更するこ
とは可能です。
●親権をとるなら、養育費を支払わない
「親権をとるなら、養育費を支払わないと言われ困っている」という相談を受けます。
養育費の支払い義務は、親権の有無や子どもの同居の有無に関わりのないものです。親権を渡さな
いと養育費を支払わないというのは、法律的にはおかしなことです。ただ、現実には、よくあるケース
です。このような場合、相手の言うことに屈して、親権をとったからといって養育費の支払いを免除に
するようなことは決してしないでください。他に交渉する材料となるものがないかを考えてみてくださ
い。どうしても協議で解決できないときは、諦めずに家庭裁判所に調停の申立てをするか、先に述べ
た親権者と監護者を別にする方法で養育費が確保できないかを検討してみてください。
子どもを育てるにはお金がかかります。とにかく早く離婚したい、親権はとりたいというあせる気持ち
で相手の言いなりにならないように、早めに専門家に相談されることをお勧めします。
すずき行政書士事務所では、それぞれの状況に応じたアドバイスをさせていただいております。
迷ったら、お気軽にお電話してくださいね。