遺言 会話式Q&A 6.一人暮らしで子どもはいない、私の財産はどうなる?

登場人物 和美さん 78歳女性   夫は既に他界  子どもはいない

和美さん 「最近、自分の財産のことが気になって、すずきさんにいろいろ聞きたいなと思ってきたの。」

すずきさん 「どのようなお悩みですか?」

和美さん 「主人が残してくれた財産があるんだけど、私が死んだあともいくらかは残ると思うの。私には子どももいないし、財産はどうなるのかしら?と思って。」

すずきさん 「和美さんには、兄弟姉妹はいらっしゃいますか?」

和美さん 「私は一人っ子だから、兄弟姉妹はいないの。両親も他界しているしね。遠い親戚はいるけど、お付き合いはほとんどないわね。」

すずきさん 「その場合だと、和美さんの財産は、最終的には国庫に納められることになりますね。和美さんのお世話を献身的にしてくれる人が、回りにいらっしゃれば、その方が、特別縁故者として、遺産の全部あるいは一部をもらえる可能性がありますが、家庭裁判所に申し立てる必要がありますし、時間もかかるので、使い勝手はよくないですね。」

和美さん 「そうなのね。私の財産は国のものになってしまうのね。主人が一生懸命残してくれたお金だから、国に納めるよりは、もっと有意義なものに使いたいわ。」

すずきさん 「それだったら、遺言書を書くことをお勧めします。遺言書の中で、だれに財産をあげるのかを指定することができますよ。」

和美さん 「遺言書?なんだか仰々しいわね・・・」

すずきさん 「最初はそう思われるかもしれませんが、当初、和美さんのように心配されていた方々も、最終的には、国庫に入るのなら別の方に差し上げたいということで、遺言書を作成されていますよ。」

和美さん 「私みたいに悩んでいる人が他にもたくさんいるの?」

すずきさん 「はい、いらっしゃいます。和美さんのようにご主人を亡くされて、お子さんなどの相続人がいらっしゃらないという方もそうですし、生涯独身で相続人のいない方も、遺言書がなければ、財産は国庫行きですからねぇ。」

和美さん 「なるほどね。悩んでいるのは、私一人じゃないってわかってよかったわ。こういうことを考えると、気持ちがどうしても暗くなるでしょ。わざと、考えないように心に蓋をしてしまうの。」

すずきさん 「そうでしたか。ご主人がいらっしゃれば、いろいろ相談できるんでしょうけど、お寂しいですね。ところで、具体的に、財産をあげたいと思われている方はいらっしゃいますか?」

和美さん 「う~ん、実は、先月、脚を骨折したときに、お隣の奥さんがとても親切にしてくださったの。その奥さんも私も、お花が大好きだから、ガーデニングを一緒に楽しんだりしている仲なんだけど、庭の石につまづいて動けなくなっているところを発見してくれて、救急車で病院まで運んでくれたの。その後も、食事を運んでくれたり、とっても親切にしていただいたの。」

すずきさん 「それはよかったですね。その方とは長いお付き合いなんですか?」

和美さん 「そうね、もう15年以上になるかしら?」

すずきさん 「そうでしたか、そういう方が身近にいらっしゃるのは心強いですね。」

和美さん 「そうなの。一人暮らしの不安を、しょっちゅう聞いてもらっているし、他に頼れる人がいないことも知ってるから、いつも気にかけてくれるの。和美さんは早くにご両親を亡くしてて、私のことをお母さんみたいだって言ってくれてるわ。和美さんのご主人は単身赴任で、お子さんは独立して遠くにいるそうよ。だから、二人でよくおしゃべりするの。」

すずきさん 「仲のいい親子みたいですね。」

和美さん 「元気なうちは、主人と一緒に過ごした家で、できるだけ過ごしたいけど、自分で身の回りのことができなくなったら、施設とかも考えなきゃとは思っているの。」

すずきさん 「お話を伺っていて、遺言書のこと以外にも任意後見のことも考えられたらよいのではと思いました。遺言書は、和美さんが亡くなった後の財産をどうするのかという問題ですが、任意後見は、和美さんが生きている間の財産管理の問題です。例えば、和美さんが将来、認知症になり、専門の施設に入居したいと思ったとき、ご家族がいらっしゃらないと、施設側から、「後見人をつけてください」と要求されます。認知症の和美さんに、お金の管理を任せて、だれかに取られてしまっては大変ですからね。そのような場合に備えて、和美さんが信頼できる人と任意後見契約を結んでおき、和美さんが認知症になったのち、一定の手続きを行えば、その人(任意後見人)が、和美さんの財産を管理してくれるというものです。」

和美さん 「そんなことができるって、始めて知ったわ。でも、自分の財産を他人に任せるのって、正直、不安だわ。お金は命の次に大切っていうでしょ。」

すずきさん 「おっしゃるとおりです。さきほど、一定の手続きを行えば任意後見人が財産を管理してくれると言いましたが、一定の手続きというのは、家庭裁判所に、任意後見人を監督してくれる任意後見監督人を選任してくれるように申し立てることなんです。任意後見人が不正なことをしていないかを監督人がチェックし、定期的に家庭裁判所に報告しなければならないことになっています。」

和美さん 「それを聞くと少し安心するわ。でも、なかなかふんぎりがつかないわねぇ。」

すずきさん 「和美さん、信頼できる人を探すのは、なかなか難しいですよね。さきほどのお隣の奥様とは、かなり親しくされているようですが、任意後見人になると、お金の入出金記録などつけて監督人に提出することになるので、向き不向きがありますし・・・一般の方ではなく、司法書士や弁護士などの専門家と契約を結ぶこともできますし、NPO法人などの法人とも契約を結ぶことができますよ。和美さんのご自宅の近くに、高齢者向けのNPO法人があると思いますが、一度、訪問してお話を聞かれたらよいかもしれないですね。」

和美さん 「自宅近くにそんなのがあったのね。話を聞くだけなら簡単だから、一度行ってみるわ。今日は、いろいろ教えてもらってありがとう。」

すずきさん 「いえいえ、和美さんの財産は、「生前の財産管理」、「死後の財産の行方」の2本立てで考えるとよいと思います。わからないことがありましたが、いつでもご相談くださいね。」

和美さん 「すずきさんに相談して、気持ちが明るくなったわ。遺言書のことも前向きに考えられるようになったし。今日、言われたことを考えて、少しまとまった時点で、また、相談させてね。」

すずきさん 「もちろんです。和美さんが、安心して暮らせるようにお手伝いさせていただきます。」

 

POINT 一人暮らし、子どもなしは、遺言書の作成に加え、任意後見契約も考えるべし!


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