◆自筆証書遺言 ⇒ ・自分で作成 ・自分で保管
◎作成の流れ
①法定相続人を調べる(戸籍をさかのぼる)→ ②財産内容を確認する
→ ③誰にどの財産をあげるのかを決める → ④遺言原案作成
【見本】
遺言書遺言者 山田太郎は、以下のとおり遺言する。1.遺言者の妻 山田花子には、次の遺産を相続させる。 土地 所在 兵庫県芦屋市○○町○○丁目
地番 1番1 種類 宅地
地積 200.05 ㎡
建物 所在 兵庫県芦屋市○○町○○丁目1番地1
家屋番号 1番1 種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造鋼板葺平屋建
床面積 150.10
2.長男 山田 一郎には、次の遺産を相続させる。
○○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○
3.遺言者の次男 山田 次郎には、次の遺産を相続させる
○○株式会社 普通株式 全部
4.本遺言書に記載したもの以外の財産は、すべて妻 山田花子に相続させる。
5.この遺言の執行者として、○○市○○町○丁目○番地の田中 博を指定する。
平成○年○月○
芦屋市○○町○○丁目○○番地○号
遺言者 山田 太郎 ㊞ |
◎作成の要件
必ず全文、日付、氏名を自筆で書き、押印する。(民法968条1項)
筆記具 特に決まりはありませんが、ボールペンや万年筆がいいでしょう。
用紙 便箋やコピー用紙、何でもかまいませんが、丈夫で劣化しない良質の紙を使いましょう。
日付 年月日をきちんと書いてください。平成○○年○○月吉日という書き方は、無効です。
印鑑 実印・認印のいずれでもよいのですが、実印が望ましいです。
遺産の内容を特定する
不動産は、法務局で登記簿謄本を取得し、そのとおり記載します。
預貯金は、銀行名、支店名、口座番号を記載する。
その他の遺産もできるだけ具体的に書く
契印 ページ数が複数枚になるときは、ページの境目に印鑑を押すと偽造防止になります。
訂正
㊞ 訂正の箇所に二本線を引き㊞を押す
相続銀行 定期貯金 口座番号123456
預 正しい文字を書く
書面の空白の場所、または遺言書末尾余白に
本遺言書○行目「貯」を「預」に訂正 訂正した旨を記載
山田 太郎 署名する
※訂正の仕方が厳格に指定されているので、できるだけ書き直すようにしましょう。
封印について 遺言書を封筒に入れて封印することは、法律で定められていません。
内容の秘密保持と、変造防止のためには、封印して保管するほうがよいでしょう。
◎遺言書の検認
自筆証書遺言は、家庭裁判所で、検認を受けなければなりません。
遺言の保管者または相続人が、家庭裁判所に検認手続の申立てを行います。
後日、家庭裁判所から、「検認期日通知書」が届きますので、相続人またはその代理人が
参加します。
封印された遺言書は、検認手続の中で相続人又はその代理人の立会のうえ、開封しなけれ
ばなりません。(民法1004条3項)
家庭裁判所は、遺言の要式が法的に問題ないかを調査し、問題がなければ、遺言書原本に
「検認済証明書」を契印して申立人に返却します。
家庭裁判所は、遺言の内容の有効、無効までチェックすることはありません。
封印されている遺言書を家庭裁判所以外で開封をした者は、5万円以下の過料に処せられ
ます。(民法1005条)
◎遺言執行者の指定(民法1009条)
遺言執行者は、相続人の代理人として、相続財産の管理をはじめ、遺言執行に必要な一切の手続きを
行います。未成年者や破産者以外であれば、誰でもなることができますが、法律知識を要求される場面も
けっこうありますので、できれば専門家を指定されるとよいでしょう。
子どもの認知や排除(被相続人に対する著しい非行などあった場合、相続人の地位を与えないこと)の
手続きをするには、必ず遺言執行者を決める必要があります。