遺言相続 会話式Q&A 1.遺言書はお金持ちが書くものじゃないの?

愛子さん  「遺言書は、お金持ちが書くものじゃないの?」

すずきさん 「そう思っている人も多いけど、実は違うの。遺言書を書くのは、相続争いを防ぐためなんだけど、財産の少ない人のほうが争いになりやすいの。財産が多いと、気持ちに余裕があるから、多少の財産の多い少ないは許せるけど、財産が少ないと、この機会にできるだけ多くの遺産をもらいたいと思って、相続人同士で譲り合いの精神が働かなくなるの。兄弟姉妹で、長年の感情の鬱積があると、正直、まともに話し合うこともできなくなるのよ。」


愛子さん  「相続でもめてる話はよく聞くわ。」

すずきさん 「「遺言書がないと、相続人同士で、だれがどの財産を相続するのかを決めないといけないの。例えば、兄弟姉妹で争いがあって、この話し合いがうまくいかないと、家庭裁判所に調停を申し立てることになるの。1か月に1回程度、家庭裁判所に行って和解できるといいけど、なかなか難しいわ。半年~1年、もっと長い期間かかっているケースもあるわ。こうなると、和解しても、その後の親戚づきあいはなくなるわね。」

愛子さん  「それは悲しいね。せっかく縁があって、兄弟姉妹になったのに。」

すずきさん 「親が生きているうちは、仲よくみえていた兄弟姉妹も、両親が亡くなると、お嫁さんやお婿さんがついて、自分たちの権利を主張しだすことが多いわ。今は、給与も増えない世の中だから、子どもたちも自分たちの将来を考えると、“この機会に少しでも多くもらいたい”と思うでしょう。」

愛子さん  「そうよね。“うちは子どもたちは仲がいいから大丈夫”という考え方じゃなく、“もめる”ということを前提に考えないといけないのね。」

すずきさん 「子どもの側から、“親に遺言書を書いてもらいたいのですが・・・”という相談を受けることもあるわ。遺言書を書いてほしいと思っても、なかなか切り出せない。親が高齢になればなるほどそうよね。私は、子どもが心配しないように、親が遺言書を書いておくことが、親の務めだと思っているの。親が自分の遺産をあげる人を決めておいてくれて、子どもは、それを有難くいただく、それが理想の財産の分け方じゃないかしら。

愛子さん  「なるほど~そうかもね。」

POINT 財産が少なくても、遺言書は書く